朝凪待ち
芽吹く毒
月映え慕情
智慧の海に君はいない
蛍雨を泳ぐ
春色褪せて、追憶だけ残る
外寝の誘惑
落第生の回答

陽炎と逃避行
肌寒さと不在通知
短夜伽話
熱砂上の二人
蒲公英とばし
二星が墜ちる
海月の恋
木犀を辿る

金魚の落涙
流氷遊泳
迎火炎舞
六月の雨は優しくない
香水魔力の遺伝性
獣交む夜
日傘乙女はおかんむり
凍傷した胸懐

茨の花で愛撫するように
温め鳥が去った朝
海猫帰れず漂う九月
蛇の罪は裁けるか
涼風がさらう
絵踏み戯れ
行く春にすがる
勿忘草の灰
砂糖水が繋いだ鼓動
瑠璃の破壊

遅き日の断片
冬の雨が麻痺させたのは、
咳止みの呪文
夜鷹が狙う君の頬

液雨の拘束
上り月を愛でながら
炎暑情死
荻の声が止む前に

雪崩道の轍を拾う
檸檬の溶解度
居待月に抱き合う
天狼は獲物を逃がさない



あめ つち ほし そら かは みね たに くも きり むろ こけ
 ひと いぬ うへ すゑ ゆわ さる おふせよ えのえを なれゐて
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